大学中退で公務員になるには?募集種類と採用過程を解説!

就活の基本

「公務員は大学を卒業していないとなれない」と思っている方は多いのではないでしょうか。実は、所定の試験に合格すれば、高卒でも公務員になることができます。大学を中退した場合も同様です。

今回は、高卒で公務員になるメリットやデメリット、高卒がなれる公務員の種類、採用の流れについて詳しくご紹介します。

目次

公務員になるメリット・デメリット

まずは、高卒で公務員になるメリットとデメリットについてお伝えします。

メリット

①大卒公務員と生涯年収がほとんど変わらない

高卒の公務員は、大卒公務員と比べて初任給が低いため、生涯年収も大卒公務員より低いと思われがちですが、一概にそうとは言い切れません。

「平成30年地方公務員給与の実態」の統計によると、市に勤める一般行政職(勤続年数35年以上)の平均給料月額は、大卒が421,925円に対して高卒は401,940円という結果でした。

平均給料月額で見ると、高卒よりも大卒の給料の方が高く見えますが、高卒の方が勤務年数は長くなるため、涯年収に換算すると両者の差はほとんどなくなります。

また、公務員の退職金は退職時の給料月額と勤続年数をもとに計算されます。退職時の給料月額は高卒より大卒の方が高い傾向にありますが、勤続年数は高卒の方が長いため、退職金に関しても大きな差は生じないでしょう。

【出典】平成30年地方公務員給与の実態

②大学進学の学費がかからない

大学に進学した場合、最低4年間は学費を払う必要があります。留年や大学院進学となると、さらに学費がかさんでしまいます。

文部科学省が行った「家計負担の現状と教育投資の水準」の平均学習費用(授業料などの学校教育費や学校給食費,学校外活動費を含む)の調査によると、国立大学は約436万円私立大学は約623万円という結果でした。下宿や一人暮らしをした場合は、生活費や家賃分も上乗せされます。

こうした大学進学費用がかからず、すぐに給料を稼ぐことができる点は、高卒公務員の大きなメリットといえるでしょう。

【出典】
文部科学省 平成21年度文部科学白書 第1章 家計負担の現状と教育投資の水準

③大卒公務員より試験に通りやすい

高卒の公務員試験の難易度は、大卒の公務員試験に比べて低くなります。高卒公務員試験では、教養科目のみとなっていることが多いため、教養科目と専門科目が設定されることの多い大卒公務員試験よりも受験のハードルは下がりますね。

デメリット

①働いている分自由時間が少なくなる

公務員になった場合、一般的に平日は朝から夕方まで拘束されるため、余暇の時間は週末に限られます。

オンとオフのメリハリができるというポジティブな考え方もあります。しかし、周りの大学生が自由な時間を謳歌している姿を見てしまうと、あまり良い気分にはならない人もいるのではないでしょうか。

②幹部になることは厳しいことも

自治体や職種によって異なりますが、将来幹部などに出世しやすい国家公務員の総合職や地方公務員の上級などの区分に、高卒で合格することは難しいと言われています。

一方で大卒公務員は幹部候補生として採用されることが多く、出世するスピードも早い傾向にあります。

そのため、高卒公務員の方が早く就職したとしても、数年後には大卒公務員が自分の上司になっていることも十分にあり得ます。

高卒がなれる公務員の種類

冒頭でも触れましたが、高卒では地方公務員だけでなく国家公務員にもなることができます。高卒または高卒程度の学力をもつ人を対象とした公務員の職種をご紹介します。

国家公務員と地方公務員の違い

公のための仕事に携わる公務員は、大きく国家公務員地方公務員に分けられます。役割も異なるため、しっかりと確認しましょう。

国家公務員は国家機関に採用され、国全体にかかわる業務を行います。憲法によって「国民全体の奉仕者」と定められ、その種類は一般職と特別職に分けられます。高卒程度が受けられる国家公務員の種類は、一般職にあたります。

地方公務員は、地域に密着した地方自治体(都道府県や市町村など)に勤務する公務員です。国全体に関連した業務を行う国家公務員に対し、地方公務員は自治体の住民サービスなど地域に密着した業務を行います。

国家公務員の種類

①人事院実施の国家公務員試験

一般職試験:高卒者試験、社会人試験(係員級)
専門職試験:皇宮護衛官採用試験、刑務官採用試験、入国警備官採用試験、税務職員採用試験

【出典】
人事院国家公務員試験採用NAVI試験情報

②裁判所実施の国家公務員試験

裁判所職員一般職

【出典】
裁判所職員採用一般職試験

③国会実施の国家公務員試験

衆議院事務局職員一般職
参議院事務局職員一般職
衆議院事務局職員専門職
参議院事務局職員専門職

なお、衆議院事務局では、2019年度国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)最終合格者のうち、技術区分から採用を行っています。参議院事務局においては、2019年度の一般職(技術)試験の実施はしていません。

【出典】
衆議院事務局 採用情報
参議院 事務局職員の採用

地方公務員の種類

高卒程度で受けられる地方公務員試験は、一般的に都道府県と政令指定都市の「地方初級公務員試験」を指します。その名称は「高卒程度試験」や「初級職」、「3種」など自治体によって異なります。

地方初級試験には、一般行政事務、学校事務、警察事務などの事務系、農業や土木などの技術系、警察官や消防官などの職種があります。募集職種は自治体、年によって異なるため募集要項をよく確認しておきましょう。

高卒公務員採用までの流れ

高卒で受けられる公務員試験を理解したところで、受験から採用までの流れを説明します。

受験する試験を決める

自分のなりたい職種、やってみたい仕事が定まってきたら、受験する試験を決めていきます。勤務時間や休暇、給与などの勤務条件を知っておくことも大事です。

さらに、学歴や専攻分野、携わる仕事の種類によって受験する試験の区分が違うため受験案内をよく確認しておきます。

受験する試験が決まれば、申込受付期間や試験日程、試験の種目・方法などを確認することも忘れずに行いましょう。

採用までの流れ

次に、2019年の国家公務員採用一般職試験の例から、高卒者の公務員採用までの流れを見てみましょう。

一般職試験(高卒程度)の流れ

【引用】
人事院国家公務員試験採用情報NAVI 採用情報

採用までの大きな流れは、次の3つからなります。

  1. ホームページによる情報収集
    人事院地方事務局ホームページに掲載されている官庁ガイドなどにより、試験情報を確認して希望の仕事を探してみましょう。
  2. 採用試験
    申込みは「国家公務員採用試験インターネット申込み」から行いましょう。申込期間が限られているため、注意が必要です。
  3. 志望官庁の採用まで
    試験に合格したからといって採用が決まったわけではありません。最終合格後、志望官庁の採用面接が通れば、採用内定となります。

採用予定数

採用予定数も年によって異なります。2019年度の一般職試験(高卒者試験)採用予定数を見てみましょう。

【引用】
人事院国家公務員試験採用情報NAVI
採用情報「2019年度一般職試験(高卒者試験)採用予定数」

採用予定数は技術、農業土木、林業区分に比べて事務区分の採用予定数が多くなっていますね。

採用状況

平成29年度一般職試験の採用状況を見ると、1,127人(うち女性434人)が採用されています。採用状況の内訳は次の通りです。
事務職区分の採用人数が最も多く、その約43%が女性の採用だとわかります。

「平成29年度国家尾公務員採用一般職試験(高卒者試験)採用候補者名簿からの採用状況」

※( )は女性を内数で示しています。

【出典】
人事院国家公務員試験採用情報NAVI
「平成29年度国家尾公務員採用一般職試験(高卒者試験)採用候補者名簿からの採用状況」

おわりに

公務員のメリット・デメリット、受けられる公務員の種類や採用課程をご紹介しました。
各府省や地方自治体のホームページに高卒が受けられる公務員試験の詳しいデータが載っています。高卒公務員を目指すなら、欠かさずにチェックしておきましょう。

タイトルとURLをコピーしました