大学を中退して就職した方の中には、キャリアアップの転職や別業界への転職を考えている方もいるでしょう。
転職をした場合、今よりもいい会社に入ることはできるのでしょうか。転職市場においては大学を中退したことはどのくらい影響があるのでしょうか。
そのような不安を持つ人向けに、転職活動の進め方を解説します。
目次
大学中退者の状況
まず、大学中退者の現状をざっと見ていきましょう。
文部科学省が平成26年に行った発表によれば、大学を中退する人の割合は平成24年で2.65%です。
8万人近くが毎年大学中退をしているということは意外に多いと感じるのではないでしょうか。
中退理由の1位は経済的理由によるものであり、20.4%を占めます。
2位は転学、3位は学業不審という理由が挙げられています。
大学中退者の転職は厳しい?企業側の印象は?
さて、大学中退した人が転職をする場合、企業からはどのような印象を受けるのでしょうか。
大学中退者の最終学歴は高卒となります。
応募要項で高卒を受け入れている会社であれば、大学を中退しているからといって即座に選考から外れるわけではありません。
ただし、大学を中退し、現在勤務している会社も辞めようとしているということは「飽きっぽい・すぐに諦める人」と思われる可能性があるという点は理解しておきましょう。
現在の職種と同じ業種にキャリアアップして就職する場合は、即戦力として採用されます。
その場合は、学歴よりも前職でどんな仕事をしていて、なぜ転職をしたいのかという将来的な目標が重要視されます。
他業種に移る場合よりは、大学中退の学歴がハンデになることが少ないと考えることができるでしょう。
ポイントと注意点
マイナスイメージを持たれないようにするためには、面接の時の受け答えにポイントがあります。
面接の際は、必ずと言っていいほど大学中退の理由を聞かれます。
その時には必ず、前向きな理由を伝えるようにしましょう。
具体的な面接の受け答えについては後に詳しく説明します。
就職活動の際には、事実と異なることを報告することはやめましょう。
中退したことがバレなければいいと思うかもしれませんが、学歴詐称を行うと、入社してからでも解雇されてしまう可能性があります。
大学中退者の転職活動の手順とポイント
では実際に転職活動を行う際に何をしたらいいのか、順番に確認していきましょう。
業界研究・志望企業探し
ここでは、業界研究や志望企業探しの具体的な方法を紹介します。
<業界研究について>
まずは、志望業界を絞ります。
今の会社と同じ業界でキャリアアップをするか、今の経験を生かしつつ別の業界に移るかの選択となります。
同じ業界の場合、雇用条件の良い会社に移ったり、できることの幅が広がる大企業へ移ることが考えられます。
別業界に移る場合も、やみくもに業界・企業選びをしているわけではなく、一貫した信念を持って会社選びをしているということを示せると好印象です。
例えば「消費者と直接コミュニケーションを取れる仕事」「女性が活躍している会社」などが考えられます。
自分がどんなことを大切にして働いているのかという自己分析から業界選びにつなげていきましょう。
<業界企業探しについて>
志望業界を決めたら、まずは業界全体を俯瞰します。
業界地図などを利用して業界の規模や代表的な企業名などを確認できたら、次に業界の事情を詳しく調べます。
ネットニュースを読んでトレンドを掴んだり、業界の本を読んで各企業の違いや提携関係などを把握したりして、志望企業を絞ります。
個別の企業について一番濃い情報が得られるのは、実際に働いている人の声です。
知り合いを辿って気になる会社の人と話すことができれば内情が詳しく分かるため、安心です。
知り合いがいないけれども誰かに相談したいという場合は、転職エージェントを頼ることも一つの手です。
例えば非大卒向けのサービスを提供しているゼロタレントであれば、大学中退者向けのアドバイスがもらえるため、心強いです。
履歴書の書き方
中途退学は学歴とはなりませんが、履歴書には記載します。記載方法は以下の通りです。
○年○月 □□高等学校 卒業
○年○月 □□大学 △△学部 入学
○年○月 □□大学 △△学部 中途退学
ここに中途退学の理由を簡潔に記載しても問題ありません。
履歴書が完成したら、提出の前に転職エージェントにチェックしてもらうと良いでしょう。
ゼロマガジンなど転職活動のプロに見てもらうことで、自分では気付かない改善点を指摘してもらうことができます。
面接の受け答え
先ほども述べたように、面接で必ず聞かれる大学の退職理由は前向きな回答を述べましょう。
例えば「家庭の事情により就職する必要があったから」「大学で勉強するより実際社会で技術を磨きたかったから」などが考えられます。
ただし、ここで嘘をつくと不自然さが発生します。
事実と異なることを述べるのではなく、あくまでポジティブに伝えることを意識してください。
中途採用の場合は、これまでの経験を生かした即戦力としての活躍を期待されています。
自分の強みや前職での経験を転職先の企業でどのように活かすことができるのかをアピールしましょう。
大学中退者におすすめの職種
ここで、大学中退者でも応募ができる職種としておすすめの3つをご紹介します。
営業職
営業の仕事は会社の商品やサービスを販売して売り上げを伸ばすことです。
営業職はコミュニケーション能力が最も重視される業務であるため、能力さえあれば大学中退者であっても採用されやすい職種です。
社会人マナーを身につける中で、相手の言いたいことを汲み取るなどのコミュニケーション能力を磨いていきます。
営業は頑張り次第で高収入を目指すことのできる職種です。
キャリアアップを目指す場合は、より条件の良い会社に移ったり、自分の好きな商品を扱っている会社や自分の得意な顧客層をターゲットにしている会社などに転職する形となります。
事務職
事務職は幅広い業界で需要があるため、応募先が比較的多数見つかります。
事務職は縁の下の力持ちとして職場内の事務作業を行う仕事であり、比較的女性が多い職種となります。
職場によって仕事内容が大きく異なるため、応募する際には具体的な仕事内容を確認しましょう。
また、職場によっては採用条件に特定の資格が必要な場合もあります。
同業での社会人経験があったり、資格を保有している即戦力の人材であれば、比較的有利に転職活動を進めることができるでしょう。
サービス業
サービス業は、受付窓口や販売員などの接客対応を行う職種です。
人と接することが好きで、業務中明るくいられる人に向いています。
未経験でも応募できる案件が多く見つかります。
キャリアアップのための転職の場合、よりハイクラスの顧客サービスに移ったり、給与などの条件が良い職場を探すこととなります。
大学中退者が取得すべき資格
転職にあたって、資格を取得していると未経験分野でも基礎知識が備わっていると評価されるため、業界への就職意欲が高いことを示すことができます。
どの業種に就きたいかで、必要となる資格は異なります。
ここでは、先述したおすすめの3職種に転職する際に取得すべき資格をご紹介します。
営業職におすすめの資格
- 普通自動車免許
多くの顧客を担当する外回りの営業の場合、車を運転する必要がある会社があります。
自動車免許を取得していない場合は取得しておきましょう。 - 営業士検定
合格すると営業士として認定されます。
勉強することで営業力・マーケティング力の向上に役立ちます。 - セールスレップ
営業のプロとしての能力を評価する資格です。
3級に合格することで、マーケティングの基礎知識や提案活動に必要な知識を保有していることをアピールできます。
事務職におすすめの資格
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
事務仕事に必須のWordやExcel等の使用スキルを証明する資格です。
応募資格にこれらのソフトが使えることを条件にしている会社も多いため、MOSを保有していると安心です。 - 簿記
経理としてのスキルを学ぶことができる資格です。
キャリアアップの転職の際はこうした専門職に就くことで給与アップを目指すことができます。 - 秘書検定
ビジネスの場にふさわしいマナーが身についていることを証明できる資格です。
普段の生活でも役立ちます。
サービス業におすすめの資格
- TOEIC・TOEFL
グローバル社会の昨今、海外からの顧客を対応する機会も今までになく増えています。
スマートな応対ができるよう、英語力は欠かせないスキルです。 - 販売士
消費者心理やマーケティングの知識は優れた販売員になるには役立つスキルです。
3級から1級まであるため、まずは3級取得を目指してみましょう。
まとめ
転職を考えているということは、これまでの仕事の業務を行う中で、自分の得意なことややりたいことが分かり始めている頃でしょう。
自分にぴったりの職場に出会い採用されるために、現在の職場で働いているうちから資格の取得などを始めてみることをおすすめします。
一人での転職活動に不安を感じた時は、転職エージェントなどプロに頼るのも一つの手です。
今後転職活動を行う際は、この記事を参考にして準備を進めることをおすすめします。