短大卒の方は、四大卒に比べると就職がやや不利になると言われています。
専攻学科によっては、短大卒を対象とした求人募集自体が少なく、面接の際に大学に進学しなかった理由を問われることがあります。
内定が決まらないまま卒業し、定職に就かずにアルバイトを掛け持ちしながら働く人も多いようです。
しかし、職種によっては短大卒でも挑戦できる企業はたくさんあります。
そこで今回は、短大生の就職状況やスケジュール、ポイントなどについて解説します。
記事後半では、短大卒業後にキャバクラボーイから営業職に転職して活躍している柴原翔さんに、短大卒の方が就職を成功させるための秘訣や苦労したことなどについてお話を伺いました。
目次
短大生の就職について
文部科学省が公表している「大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」を見ると、短大卒業後の就職率は98.6%で、大卒の就職率97.6%をわずかに上回っています。
(参考:大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査 – 文部科学省)
世間では「短大卒は就職先が少ない」と言われているものの、実際には大卒よりも就職できる可能性は高いと言えるでしょう。
短大生の主な進路・就職先
短大卒業後の主な進路として、就職を選ぶ人がほとんどです。
事実、富山短期大学が実施した「平成29年度短期大学卒業者の進路」によれば、卒業者数109名のうち106名が企業内定を獲得しています。
106名のうち5名以外は、県内の中小企業や宮内庁などに就職しています。
(参考:短大生における就職活動と卒業後の状況 – 目白大学短期大学部生活科学科)
また、ファッションやブライダル、インテリアなどを学べる目白大学短期大学部の人気学科「生活科学科」が過去に発表した「短大生における就職活動と卒業後の状況」のデータも見てみましょう。
参加人数がもっとも多く人気の高い「ゼミ2(アパレル研究)」の欄をご覧ください。
同大学のファッション・デザインコースを専攻している2年生16名中、 11名の生徒が卒業前年7月時点で内定が決まっています。
富山短期大学と目白大学短期大学部の結果からも、多くの生徒が短大卒業後は就職の道を希望していることがわかります。
また、短大の中には以下のような学生の就職率アップに向けたさまざまな取り組みを行っているところもあります。
- 資格取得や就職対策のための特別講義の開催
- 企業関係者やOB・OGを招いてのセミナーや講演会の実施
- 学生のキャリア形成をバックアップするための相談窓口の配置 など
短大生のお給料事情
短大生の給料は、大卒に比べて低い傾向にあります。
厚生労働省が発表した「平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」のデータによれば、短大卒入社1年目の初任給は181,400円です。
前年比より1.2%アップしているとはいえ、大卒の初任給206,100円と比較すると、24,700円少ない計算となります。
(参考:平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況 – 厚生労働省)
さらにここから、社会保険料や所得税、雇用保険料といった税金が引かれるため、手元に残る金額はさらに少なくなってしまいます。
企業規模や職種、勤務する地域によって金額は変動するため一概にはいえませんが、ボーナスを含めず1年間勤務した場合の年収を単純計算すると、短大卒は2,176,800円、大卒は2,473,200円となり、296,400円もの差が生じることになります。
短大生の就活スケジュールとポイント
短大生のリクルート活動は、入学して2ヶ月後の6月からスタートします。
「企業の採用選考に間に合わなかった」とならないよう、就活スケジュールは計画的に立てましょう。入学から卒業までのスケジュール例は、以下の通りです。
<1年目>
4月 短期大学入学
6月 進路希望調査の実施
8月〜翌年5月 企業説明会・エントリーシート提出
9月 企業面接(本格的な就職活動スタート)
<2年目>
6〜8月 企業面接・内定獲得
10月 内定式
12月 冬休み
翌年3月 卒業式
4月 入社式
短大入学後1年目で進路を決断
短大は、教養だけではなく社会で役立つ深い専門知識とスキルを身に付けられることが特徴です。
大学生の場合は、3年目の夏を迎えるとインターンやOB訪問に参加したり、応募企業へのエントリーシートを準備したりと本格的に就職活動がスタートします。
短大の場合は、学校で勉強できる期間が大学よりも2年短い分、前倒しで進路を決める必要があります。その時期が、短大に入学して1年目の6月です。卒業後に就職するか、もしくは大学に編入をするかを決断できるようにしましょう。
進路を早めに決めておく
自分の希望通りの業種や業界へ就職するなら、短大入学前に「介護施設で働きたいから介護の専門知識を学ぶ」といった将来の目標をきちんと明確にしておく必要があります。
とはいえ、在学中に専攻学科とは別の分野に興味が湧くことや、なかなか目標を決められないことも多いでしょう。
途中で将来の目標やプランが変わったとしても、学んだ知識や身に付けたスキルをどんな業界で活かせるのか考えて就職先を考えましょう。
インターンシップに参加する
就職先を決めるためには、まず世の中にどんな企業があるかを知る必要があります。
そこで重要なのが、インターンシップへの参加です。企業や業種により異なりますが、短大生の進路決定とほぼ同時期の6月からインターンシップの募集が始まります。
インターンには、会社説明やワークショップがメインの短期インターンシップと、お給料を貰いながら現場の業務に携われる長期インターンシップの2種類があります。
職場の雰囲気や働いている人、実際の業務など、求人情報では分からないことを知るのであれば、長期インターンがおすすめです。
お昼休憩中に先輩とランチをしながら、仕事のやりがいや会社の魅力についてを聞いてみるのも、企業・業界理解を深めることにつながります。
仮に、興味のある業界ではなかったとしても、視野を広げるきっかけになるためインターンに参加してみはどうでしょうか。
インタビュー:柴原さん|キャバクラボーイから営業職に就職
柴原翔様(現在 26歳)高校卒業後は、ボーイとしてキャバクラに勤務。「いつまで夜の世界で働きつづけるのだろう」と将来への不安を感じ転職活動をスタート。現在は、営業職で活躍しています。▶︎就活時に利用していたサービス:ゼロタレント(転職エージェント)
「いつまでボーイを続ける?」将来への不安を感じ転職活動を開始
柴原さんは、前職ではキャバクラでボーイとして働いていたとのことですが、転職しようと思ったきっかけを教えていただけますか?
スタッフとも仲が良く人間関係も良好で、そこそこ稼げてはいたのですが、ふと「一体いつまで夜の仕事を続けていくのだろうか」と将来に不安を感じてしまったんです。
強いて言うなら、取得資格がなかったことでしょうか。
高卒の場合は、資格を持っておくと転職活動で有利になると聞いていたのですが、なかなか時間を作れなくて……。
幸い、現在働いている企業は資格がない未経験の私を雇ってくれたので本当に運がよかったなと思います。
ただ、持っておくに越したことはないので、高卒の方で転職活動をされる方はいくつか資格があると安心ですよ。
転職活動の軸は、稼げるかどうか
資格や経験を活かすことができたり、福利厚生が充実していたり、企業選びの軸は人によってさまざまだと思うのですが、柴原さんが重要視していたポイントは何でしょうか?
前職が給料の高い夜の仕事だったこともあり、就職先でどれだけ稼げるかどうかを最優先に転職活動をしていました。
私が転職先として営業職を選んだのも、学歴や経験に関わらず成績次第で稼げるということが一番の理由です。
給与が上がっていくと、やりがいを感じますし「また頑張ろう!」と思えます。
やりがいというか、「自分でも会社に貢献できる」と思えるので単純に嬉しい(笑)。
褒められ慣れてないというのもあるのかもしれないんですけど。
最後に、転職活動をしている高卒の方に向けて何かメッセージをお願いします。
今の私に言えるのは、正しい努力をすれば成果に結びつくということです。
諦めず、とにかく直向きに頑張ってください。
まとめ
今回は、短大卒の方が就職活動を行う際のポイントと、短大卒業後に企業に就職し活躍している方へのインタビューをお届けしました。
短大卒の就職率が高いとはいえ、「就職先が決まらない」「なかなか希望条件に合う企業を見つけられない」などの悩みを抱える人も多くいます。
就職活動が思い通りに進まないときは、非大卒専門の転職支援サービス「ゼロタレント」に相談してみてはどうでしょうか?
経験豊富なキャリアアドバイザーが相談者の悩みを聞きながら、適性に合った優良企業を紹介してくれます。
転職エージェントもうまく活用して、就職活動を成功させましょう。